おいしいって何? その6

おいしいって何? その6
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魚類や牛肉、豚肉の主な旨味成分は「イノシン酸」です。鶏肉も「イノシン酸」が主な旨味成分ですが、その他のものと若干違うことがあります。
それは、魚類、牛肉、豚肉に比べて「グルタミン酸」の含有量が多いと言うことです。
つまり、何も足さなくても鶏肉のみで「旨味の相乗効果」を起こしている訳です!!
じゃあ、魚や牛肉、豚肉よりも必ず「旨味」を強く感じるのかと言うと、、、残念ながらそうではありません。
何故でしょうか?
それは、この「旨味成分」は様々な要因により失ってしまうのと、「熟成期間」というのが関係しています。

「旨味成分の喪失」の原因にはどの様なものがあるのでしょうか?

その1 肉汁の漏出
冷凍した肉を解凍した際に赤い汁がよく出ていると思います。この赤い汁を「ドリップ」と呼んだりします。
この「ドリップ」の中に「旨味成分」が沢山入っているのです。
冷凍すると肉に含まれている水分が凍結する際に膨張し、繊維をズタズタにします。これを解凍した時、ズタズタの繊維から大量のドリップが出てしまいます。
食感もまた、パサパサとした弾力の無いものになってしまいます。
食感は好みが分かれるところですが、旨味は間違いなく失われています。※瞬間凍結の場合は繊維は壊れませんが、残念ながらまだ一般的に使用できるものではありません。

その2 肉の温度管理
生きている鶏の体温は大体42℃くらいです。これを精肉加工する際には全ての部位(内臓も含めて)を10℃以下まで冷やします。
むね、もも、手羽先、手羽元など、外側に位置している部位に至っては2℃位まで温度が下がっています。
何故冷やしてから加工するかというと、
1つは肉を冷やすことによって繊維をギュッと締めるためです。そうすることにより、加工時のドリップが減り旨味が外に逃げなくなります。
加工が終わった後は肉温が上がらない様に速やかに軽量、真空して冷蔵保存します。肉温が上昇するとドリップしてしまうからです。
もう一つは旨味成分の喪失とは少し違いますが、菌類の増殖温度帯に肉温がならない様にする為です。
菌の種類にもよりますが、殆どの細菌類は20℃~50℃の温度帯で猛烈に増殖します。食中毒を起こす菌を増殖させないのはもちろんのこと、菌が増殖する課程で肉の栄養素(糖分など)を吸収し酵素によって菌体を作り上げる、「発酵」が始まってしまいます。
意図的な「発酵」は、素材の味にプラスするものを厳重に管理しながら使用していますが、管理外の「発酵」は本来の旨味の邪魔でしかありません。腐る程でないにしても、やはり旨味への影響は大きいと言えます。

その3 熟成期間
「旨味成分」のアミノ酸、核酸などは時間によって増減するものです。増加した時に食べると「旨味」を強く感じます。死後硬直が解かれた時点からこの「旨味成分」の増加は大きく変化し始めます。
牛、豚、魚など、それぞれこの熟成期間は違います。鶏肉の場合、「イノシン酸」は死後硬直が解かれた後8~12時間でピークに達します。「グルタミン酸」は24時間位です。但し、これは若鶏(ブロイラー)の場合で、地鶏や親鳥はもう少し時間が掛かります。
広島赤鶏の場合、個人的な味覚ですが若鶏の2倍弱位の期間でピークに達します。
ピーク後、徐々に失われていく「旨味成分」ですが、「グルタミン酸」に関しては凍結温度ギリギリで保存することにより更に増加させることが出来ます。これは肉自体が凍結を阻止するためにタンパク質の分解を始め、その結果アミノ酸(グルタミン酸など)を産出する為です。
「イノシン酸」が失われる前に「グルタミン酸」をより多く産出することで「旨味の相乗効果」をより強くすることが出来るのです!!

書きたいことはもっと沢山あるのですが、収拾がつかなくなりそうなのでこのあたりで締めくくります。

素材の味を最大限引き上げる為の要素は様々です。「肉自体の味が濃い!!」のが当店の最大の強みでもあり目標にもしています。
飼育方法、餌、精肉時の管理、精肉後の熟成管理など、まだまだ研究の余地は大いにあります。
もちろん他食材とのマッチング、調理方法、盛り付けやお店自体の雰囲気、「美味しいと感じる」要因をもっと勉強していかなければなりません。
しかし、まず「素材の旨味」を一人でも多くの方に味わって頂きたいのです!

ひろしまの鶏は旨いんです!!!